【Common Journal vol.2 「和田健二郎さん」】

2024年7月にスタートした「Common Journal」。この企画では、コモンに関わる日常の風景やストーリーをお届けします。第二回目となる今回は、ビームス ジェネラルスタイルクリエイターである和田健二郎さんが登場。ご自宅にお邪魔し、奥様の求示加(くみか)さんによるランチをご馳走になりつつ、コモンの製品に対するご感想もお聞きしました。

ビームス ジェネラルスタイルクリエイターの和田健二郎さん

健二郎さんは、セレクトショップ・ビームス一筋34年。ファッションに留まらず、暮らしや食に関する自身のスタイルを広く発信し、多くの人々を魅了しています。2023年10月には、著書『ビームスの服ショーグンが敬愛するモノ・コト・ヒト RESPECTS』(世界文化社)を刊行しました。

ホームパーティーは、和田家の暮らしに欠かせないもの。年間で約70回開かれたこともあるとか。「鹿児島の実家で父が人を招くのが好きだった影響で、私たち夫婦もおもてなしが大好きなんです」と健二郎さん。お客様が訪れる際には、リラックスできる空間と寛げる時間を提供することを心がけ、食物アレルギーや子ども向けのメニューにも配慮しているそうです。

求示加さんは福岡のご出身。「土地柄なのか、たくさんの料理を作って人をもてなすことには抵抗がありません。お腹いっぱい食べていただきたいという思いが強いですね」と語ります。外食で気に入った料理を自宅で再現したり、アレンジを加えたりすることも多いそうです。その様子は、健二郎さんの著書にも紹介されています。

今回のお料理をご用意してくださった奥様の求示加さん

この日のランチメニューは、「スズキのゴマ漬け」「ネバネババンバンジー」「小アジの南蛮漬け」「チキンのカレーヨーグルト」「マグロとアボカドのタルタル」「とうもろこしごはん」。これらの料理は、小鹿田焼などの民藝のお皿に美しく盛り付けられ、ハンス・J・ウェグナーのダイニングテーブルに並べられました。和田家では、大皿料理を取り分けるスタイルが定番。この日は、コモンのサービングスプーン、フォーク、トングが活躍しました。

まずは「スズキのゴマ漬け」をサーブしていただきました。「うちにあるトングはサイズが大きく、来客時には取り分け用として使いませんが、コモンのトングは絶妙なサイズで掴みやすい。そのままお客様に出しても問題ありませんね」と健二郎さん。スズキの歯応えとゴマの風味が絶妙に絡み合い、私たちの食欲をさらに掻き立てました。

大きめのスズキの切り身にしっかりと味の染み込んだ「スズキのゴマ漬け」
手に馴染むサイズのトングで、切り身と上に乗った薬味まで合わせてサーブすることができます

続いて、求示加さんが手慣れた様子で「ネバネババンバンジー」を取り分けてくれます。「普段からサービングスプーンをよく使っていますが、コモンのサービングカトラリーは特に使いやすいですね。手にしっくりと馴染み、扱いやすい。民藝や骨董のお皿とも見た目の相性が良いですね」。

オクラのネバネバと辛みが食欲をそそる「ネバネババンバンジー」
スプーンとフォークの組み合わせで、粘り気のあるお料理もしっかりとサーブすることができます
和田家定番の「チキンのカレーヨーグルト」下、と「とうもろこしごはん」上
「小アジの南蛮漬け」の取り分けにもトングが活躍しました
たっぷり絞ったレモンの香りが引き立つ「マグロとアボカドのタルタル」

お料理はどれも絶品です。お皿が空になるたびに、「もう少しお召し上がりになりませんか?」と健二郎さんと求示加さんが気を配ってくれます。会話も弾み、健二郎さんが最近熱中しているブラジリアン柔術の話題になりました。「娘の進学を機に、自分も新たな挑戦をしたいと思い、トライフォース柔術アカデミーに通い始めました。現在は、日本を代表する柔術家・芝本幸司先生に師事しています。仕事終わりに道場に通うのが日課となり、今では月に20日ほど練習しています。マットの上で過ごす時間が、自分の仕事にも良い影響を与えています」と語ります。

リビングを見渡すと、骨董品や国内外の民藝品、北欧デザインの家具、ミッドセンチュリー期のビンテージ家具、久留米絣のカーテンなど、和田さんご夫妻が選び抜いたさまざまなアイテムが並んでいます。それぞれが独自の個性を放ちつつも、全体として見事に調和し、居心地の良い空間を創り上げています。このような空間は、容易には真似できません。

「モノはとことん使い込むことが大切です。洋服は数は多くありませんが、大切に長く着続けています。ファッションの道を志した10代の頃に購入した靴も今なお大切に履いており、20年、30年選手の服も多数あります。私にとって、モノを選び、買うという行為は“惚れ込む”ことにほかなりません。ファッションでもインテリアでも、長年愛用してきたアイテムと新しいものを組み合わせることで、さらなるスタイルを提案したいと思っています。そして、最も大切にしているのは、『誰から買うか』ということです。その背景にはモノ以上の価値があると信じています」と語る健二郎さんからは、人とモノへの深い愛情が伝わってきます。

10代の頃に購入した靴を見せていただきました

食後にアイスコーヒーをいただきながら、求示加さんが普段使っているヘラやサービングアイテムを見せてくださいました。ラトビアや東南アジアで生まれたもの、お父さまが手作りしたもの、お土産品など、多彩なアイテムが揃っています。中には20年以上使い続けているものもあり、それぞれに豊かなストーリーとたくさんの思い出が刻まれています。コモンの製品がこのような品々の中に加わることは、私たちにとっても大きな喜びです。

使い込まれた木製のヘラやサービングアイテム。コモンもこの中に加えていただき光栄です

お腹もいっぱいになり、ランチタイムはあっという間に過ぎました。「今度は夜に遊びにきてくださいね」と別れ際に玄関先で手を振る健二郎さんと求示加さん。お二人の心温まるホスピタリティと、生活者としての卓越したセンスに触れることができた、貴重なひとときでした。

<プロフィール>
和田 健二郎(ワダ ケンジロウ):ジェネラルスタイルクリエイター
1969年鹿児島県生まれ。1990年「BEAMS」入社。店舗スタッフ、バイヤーを経験し、2012年より若手への“服育”を行うスタイリングディレクターとして活躍し、2021年よりデジタル上で“店舗スタッフのメディア化”を推進するオムニスタイルコンサルタントに就任。オンライン上のB印MARKET内で展開する個人商店「和田商店」も絶好調。Instagram:@wadajiro

この日は休日。和田さんがプロデュースした「本格焼酎 芋SHOGUN」(大石酒造)を、コモンの「ウォーターグラス」で。

撮影: 阿部健 @t_a_b_e